初のライブツアー 全3公演
2025年8月29日から31日にかけて、岐阜県中津川市を中心に、八重山唄の三線公演を1日1回、計3回行いました。
いずれも、三線仲間の友人であり、これまでにも共演してきた大月ひろ美さんの企画によるもので、大月さんと2人で出演しました。主催者も会場も違う3公演を実現させる大月さんの企画力や推進力、そして長年、俳優として、また演出家として培われた演出力に、毎回感銘を受けました。一緒に舞台に立たせていただいたことを、いくら感謝してもしきれません。
初回はユンタ多めのライブ
皮切りとなった8月29日は、中津川市のお隣、恵那市にある「極楽食堂」が会場でした。シェアキッチンであり、イベントスペースである極楽食堂は、15人も入ればぎゅうぎゅうのアットホームな空間で、お客さまには大月さんのお知り合いも多く、満員御礼でした。
オーナーさん命名のライブのタイトルは「ヤマトンチュが奏でる マジで本場を凌ぐ(かもしれない)八重山古典民謡」と、なかなか挑発的。オーナーさんも三線他さまざまな楽器を演奏される方で、琉球民謡の先生でもいらっしゃいます。せっかくの機会ですから、琉球民謡とはまったく趣の異なる、八重山らしい調べや歴史的な唄の背景を感じていただこうと考えて選曲しました。
- ユンタしょーら
- 鷲ユンタ・鷲ぬ鳥節
- 前ぬ渡節
- 繁昌節
- あんぱるぬみだがーまユンタ
- しょんかね節
- 真南風乙節・真南風乙節トースィ
- 世果報節
- 弥勒節
- 安里屋ユンタ〔アンコール〕
八重山唄の古くからの形式の一つであるユンタを意識的に多めにしました。ユンタは労働歌であり、その昔、重税に苦しむ八重山の人々が稲作などをしながら、ユンタを掛け合いで歌い、励まし合いながら労働に勤しんでいました。そうしたエピソードをお話しつつ、「ユンタしょーら」(歌う人が主役!という歌詞)と「あんぱるぬみだがーまユンタ」(石垣島の名蔵の湿地に生息するカニを擬人化した歌詞)は手拍子を打ちながら唄いました。
「鷲ユンタ」は手拍子も三線もなしで、アカペラで唄いました。八重山にのみ生息するカンムリワシがゆうゆうと空を舞い、子育てのために営巣する山に風が渡る様子を思わせるメロディに、掛け合いが木霊を連想させ、アカペラの演出を唄い手であるわたしも存分に味わいました。「鷲ユンタ」から改作された、八重山唄の定番中の定番、「鷲ぬ鳥節」は三線をつけて斉唱しました。
山を下って、「前ぬ渡節」では海を、「繁昌節」は早弾きで活気のある人々の暮らしを唄い、「真南風乙節」では親を亡くした女の子の暮らしを、「しょんかね節」では恋仲の役人との別れを唄いました。「世果報節」はわたしのリクエストで加えてもらいました。今年は米価の高騰に悩まされましたので、五穀豊穣を願いたいと思ったからです。
お客さんとの語らい
八重山唄を初めて聴かれたお客さんもいらっしゃったようです。高音のメロディが予想外だったのでしょうか、「途中で裏声に変えているんですよね?」「いえ、地声で歌ってます」といった会話もしながらのライブでした。
伝説のフォークジャンボリーが開催された中津川やその周辺には、いまなお種々の楽器の演奏家や楽器制作者が多く住んでおり、音楽活動が活発です。この日のお客さんにもミュージシャンや舞台にかかわる人がいらっしゃり、ライブ後のおしゃべりでは音楽談義に花が咲きました。
| ・中津川三線ライブツアー DAY1 (今回) ・中津川三線ライブツアー DAY2 ・中津川三線ライブツアー DAY3 |