2025年の八重山古典音楽コンクールの筝曲の部新人賞に、当研究所から受験を希望する生徒がいたために、わたしは初めての受験指導を経験することになりました。生徒さんたちを通じて、たくさんのことに気づき、学ばせてもらいました。
その多くは、わたしの修行時代の環境との違いに起因するものでした。
わたしの修行時代は、わたしは東京にいながら、石垣島にいる師匠や姉弟子からリモートで指導を仰いでいました。対面レッスンは年に1~2回、そのときしか、演奏する先輩方の姿を間近で見ることができませんでした。
正しい姿勢・正しい弾き方を、年に1~2回の対面レッスンや動画から理解しているつもりでしたが、ほぼ正面からしか見たことがことがなく、右から、左から、上から、さまざまな角度から見る経験は著しく乏しかったのです。正しい姿勢・正しい弾き方を立体的に捉えていなかったことに気づきました。
また、正しくない姿勢・正しくない弾き方のパターンもあまり知らなかったことに気づきました。同じころに入門した仲間たちと一緒に過ごす時間が長ければ、自分のダメなところのほかに、仲間たちが師匠に指摘されるところを見ることによって、初心者が陥りがちな誤りを数多く見聞きすることができます。しかしわたしは、わたしのダメパターンしか知らなかったのです。
当然ですが、手の形も指の可動域も腕の長さも人によって千差万別です。どうやっても、個々人がそっくり同じように弾くわけではありません。生徒さんたちの所作が、どこかぎこちなく見えたとしても、それで正しいのか正しくないのか、正しくなかったとしてもどう指摘していいのかわからず、しばしば悩みました。
生徒さんたちも、わたしの所作を真似しようと真剣に工夫していて、真剣に指摘を聞いてくださるし、質問もしてくださるので、それに応えなければという焦りもありました。
まずはわたしが正しい手本となれるように、自分の姿勢や弾き方を改めて見直しました。そのおかげでしょうか、技の精度が上がった気がします。またコンクール審査での生徒の演奏をご覧になった先輩方から、指導面でのアドバイスをいただきました。こうして先達の力をお借りしながら、また自省を繰り返しながら、後進に技を受け継いでいくものかもしれないと、気負わずに考えられるようになりました。
とはいえ、一期生となった生徒さんたちには、右往左往する指導をして混乱させてしまったところもあったはずです。それでもめげずに修練に励んでくださり、合格を手にされて、ほんとうによかったです。
次年度の受験指導は、もうちょっとわかりやすいものにできるように、わたしも成長していけたらと願っています。